プロ選手の戦力外通告あれこれ

1995年にラグビーフットボール界は規制を緩和し、プロ化を認めオープン化した。
南半球のスーパーラグビー、北半球のプレミアシップやTop14などのリーグは、
プロフェショナルのリーグとして、年々パフォーマンス・興行とも盛り上がる。
一方で、戦力外通告により”クビ”になる選手およびスタッフが、毎シーズン出る。
全ては結果。クラブが設定する目標に達しないと、「来年は契約しません」と宣告される。
河原清明 2024.05.21
誰でも

非情と温情と━━プロフェッショナルと社員という身分の狭間で

ベースボールマガジン社が発信する「ラグビーリパブリック」で、興味深いコラムを見つけた。

フランスのリーグにおいて、契約満了後に次の契約が決まっていない選手の推移と

経営側と選手側の本音が赤裸々に描かれている。是非ご一読いただきたい。

***

「そりゃ、選手に”クビや”なんて、言いたくないですよ……」と述べる某国内ラグビー界関係者。

筆者も過去、戦力外通告をされ、通告する側どちらも経験している。

自分が通告されたときは、とくに辛い・寂しいなどのネガティブな感情は、湧いてこなかった。

(ポジティブな感情にもならなかったが……)

「まあ、実力がないから仕方がない」と、自分の責任であるとわかっていたので……

その後マネジメント側になって、選手やスタッフとの契約更新の席にいた。

シーズン終了の翌日から、オーナー会社本社に選手を呼びつける。

初日から約3日間は、戦力外の選手とスタッフへの通告。

「貴方とは、来シーズン契約をしません。移籍を希望するなら、リリースレターを発行します」

との旨のメッセージを、対象者へ放つ。

顔を真っ赤にして、怒りをぶつける者。

涙を流す者。

茫然自失となる者。

覚悟し、「これまでお世話になりました。有難うございます」と堂々と去る者……

今回想しても、しんどいシーンばかりが浮かぶ。

「人でなし」

「冷酷人間め!いつかバチが当たるぞ!」

「お前ら!仲間を切って楽しいか?」

「何であいつを”クビ”にするのだ?お前何様?」

などなど……まあ、辛辣な”台詞”に連日襲われた。

非情な人間と言われようが、やるしかない。

なぜなら、クラブの予算は青天井ではない。所謂”人件費”は「幾らまで」と決定されている。

さらに、新戦力の獲得で競合する場合は、”実弾”の余裕がないといけない。

そのような背景があり”人件費”は、少々プールしておく。

戦力外になった選手やスタッフに関しては、”クビ”なので「後は自分でどうにか食い扶持を探せ!」と言っても問題はなかった。が、希望者には各クラブのフロントを交渉し、選手やスタッフを紹介するなど実施。全員ではなかったが、移籍を決めたケースもあった。

これが、”温情”と言うのか?どうか?わからない。

今回は、フランスラグビー界の失業者増のコラムを見て、少しだけ私の経験談もとに

関係する話を連ねてみた。また改めて、この類については詳細に解説したい。

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